プロジェクト Y vol.3 宴のあと | |
夜のとばりに身を隠し、横澤は一人フォーメーションの曲を決めていた。
学連の歴史に刻まれる、最高のFM。 ウイスキーの琥珀色とプレイヤーのディスプレイが灯す切ない薄青色だけが 横澤の明日への道しるべだった。 ただ夜は更けてゆく。 銀色に光る円盤から妖しく流れる旋律。 記憶の彼方から突然脳髄を揺らす軽快なメロディー。 横澤の音楽への愛が彼から選択の思考を奪ってさらに身悶えさせる。 午前五時の光と闇の狭間にゆらめく成功と凋落。 それが横澤の苦悩。 時間だけが過ぎ、言いようの無い寂寥が横澤の顔を覆う。 しかし、彼の口元はわずかに微笑んでいた。 ひとつの確信を浮かべて。 −続く− |